第7章 storm
また俺達は、例のカラオケボックスに集まった。
今度は由美さんがドアの傍にずっと立っていた。
美樹さんはノートパソコンを広げて、なにやら準備している。
美穂さんはボイスレコーダーをセットして、書類を広げた。
「始めますね」
メガネを取ると、テーブルに置いた。
よく見たら、度が入っていないようだった。
「櫻井さんに丸聞こえですが、大丈夫ですかね?」
「あ…そんな内容なんですか?」
由美さんがこちらを覗き込んだ。
「じゃあ私が…」
「え、でも…」
「大丈夫です。彼女にはスタンガンを持ってもらってますし、柔道と剣道と…あとなんだっけ?」
「テコンドーです」
「有段者ですから」
「うへえええ…」
智が驚嘆の声を上げた。
「隣のボックスを借りてあるので、そこに入ります」
「了解、よろしく」
翔が不安そうな顔をしたけど、相手が女性だからか、素直についていってくれた。
「時々そっちに顔出しますから」
そう言うと由美さんはにっこりと笑って出て行った。
「さて、じゃあ改めて…」
美穂さんの説明が始まった。
その内容は、耳を疑うものばかりだった。