第7章 storm
「とにかく、あの探偵さんに任せておいたら良さそうな気がしてきた」
智が助手席からこちらを振り返った。
「俺もそんな気がしてる」
「まあな…でも、なんかじれったいよな…俺達にできることないのかな…」
「潤…俺達は翔を守るお手伝いしてればいいんじゃないかな。さっき美穂さんも言ってたし」
「あ、そうだよな。うん」
「関連があるって言ってたから…きっと恵和関連のことなんだよね…」
智の声が低くなった。
翔の身体が少し強ばった。
手をギュッと握りながら、翔の顔を見た。
「かずくん…」
「ん。大丈夫…」
智が気遣わしげにこちらを見ている。
「ごめん、気にすんな」
「ん…」
「根深いって…言ってたから、一筋縄じゃいかないんだろうね…」
「うん…」
「和也と翔だけでも、どっか地方とか避難できないの?」
「え?」
「だめだよ…余計目立っておっさんにみつかるんじゃね?」
潤がルームミラーでこちらを見た。
「そうだね…ここには地域の人の目があるから…簡単にはいかないと思う…」
それに頼る地方の親戚なんていないし…迷惑なんて掛けたらそれこそだし…