第7章 storm
近場のカラオケボックスに入った。
「え…こんなところでいいんですか?」
「ええ。喫茶店なんかよりも話しが漏れることがありませんから…」
そういってトレンチコートの女性は立ちあがった。
色白の顔をあげると、さっと長い黒髪を後ろに流した。
「私、美穂探偵事務所の村上美穂と申します」
メガネの奥の瞳が微笑んだ。
名刺を差し出された。
「あ、僕が二宮です。こっちが櫻井翔、こっちは松本、こっちが大野です。全員、雅紀の友人です」
「存じ上げています。よろしくお願い致します。こちらの二人は、うちの腕利きです。秋元に五戸です。」
「秋元美樹です」
「五戸由美です」
二人の女性はそれぞれ、ラフな服装をしていた。
「すいません、こんな格好で…」
「調査中だったものですから」
そう言って二人は笑った。
「私達3人で、探偵事務所をやってるんです。今は、この案件にかかりきりなんですよ」
「ええっ…」
「お引き受けした時よりも、相当根深いと感じまして…それに…」
「それに?」
「相葉さんところは、お支払いがいいからっ」
てへっと村上さんは笑った。
見たところもうすぐ40歳というところだろうか…
他の二人はもう少し若く見えた。