第7章 storm
「いや、全く。おっさんの名前は安藤で、若いのは小原って名前のみ」
「そっか…」
智が報告書に目を落とした。
「小原のほうの身元は、雅紀の知ってる通りって書いてあったから、先輩であるのは本当みたいだよ」
「じゃあ、このコハラってやつに頼めば雅紀釈放してもらえんじゃないの?」
「ばか…無理に決まってんだろ…」
「だって、明らかに誤認逮捕だし、ヤラセだぜ?なんでだよ…」
「わかんないよ…」
智がお茶を見つめながら困った顔をしてる。
「雅紀の兄さん、なんか言いたそうだった。でも言えないって感じだった…」
「なんか…引っかかるな…このヤラセといいさ…」
「ああ…」
3人で沈思していると、翔はまた不安そうにこちらを見ている。
「翔、大丈夫だから…そんな顔しないの」
「はぁい…」
俺の横にとことこ歩いてくると、ぴったりとくっついて床に座った。
「おお…ラブラブ…」
智がにこにこした。
「翔、和也のこと好き?」
「はあい!」
「じゃあ俺は?」
「さとくんもすき!」
「えっ…」
「じゃあ俺は?」
「じゅんくんもすき!」
「おおい…」
二人は俺の顔を見て爆笑した。