第2章 sanctuary
「わかったよ…好きにしろよ…」
風呂の床にあぐらをかいて座ってたら、翔が俺の全身を隈なくナイロンタオルで洗っていく。
「んふ…かずくん、きれいきれい」
「まるで汚かったみたいだからやめろ…」
「んー?」
翔が小首をかしげると、笑いがこみ上げてきた。
「もう、いいから早くしてよ」
「はぁーい」
二人でシャワーで身体を流して上がって、一枚のバスタオルで身体を拭きあった。
「ほら、翔、足拭くから…」
翔が足を少し上げた瞬間、違和感を感じた。
「……?」
後ろに回りこんで、嫌がる翔を押さえつけてお尻の穴を見た。
「…なんだよ…これ…」
もう傷は塞がっているけど、何個も裂傷の痕があった。
あきらかな…
性的虐待の痕…
「翔…これ、どうしたんだよ!」
思わず声を荒げてしまった。
「いやっ…いやあっ…」
翔は頭を抱えて蹲ってしまった。
「あ…ごめん…ごめん、翔…」
震える背中を抱きしめた。
「ごめんね…怖かった?」
「かずくん…」
「怒鳴ったりしてごめんね…」
聞いたことがある。
障害者を人身売買して、性玩具にする地下クラブがあるって。
障害者はどんなことをされても、証言できないから、具合がいいのだと。