第7章 storm
「智、ありがとうな」
「あ…いや…ごめん。大きな声出して…」
翔が俺のジャケットの裾をギュッと握った。
「大丈夫だよ。翔…」
頬をそっと撫でると、翔はにっこりと笑った。
状況はわかってないだろうけど、翔なりにこの場は黙って居たほうがいいと思っているのだろう。
ずっと静かにしてる。
「とにかく、費用のことは榎本さんに交渉してくれるか?」
「ああ…STORMは雅紀がいないと成り立たないんだから、径だってわかってくれると思う」
「だめだったら、最悪、雅紀の兄さんに頼んでみよう。それもダメだったら、うちの父さんに頼んでみる」
「ああ…俺達でできるとこまではやろう。あちらもバタバタするだろうから…」
潤が親指の爪を噛みながら、苦い顔をしてる。
「だな…」
何でこんなことになってるんだろ。
雅紀をハメて一体なにが…
VIPの中を重苦しい空気が漂ってる。
ふと顔をあげたら、入り口にガオが立ってた。
「その費用、アタシが出すよ」
「えっ…」
「アタシのハコでこんな舐めた真似されたんじゃね…」
そう言って部屋の中に入ってきた。
「巻き込まれてやるから、最初から話しなさい」