第7章 storm
「嘘だろ…」
俺たちは呆然とその場に立ち尽くした。
「嘘に決まってんだろ」
卓の台に居た潤が降りてきた。
スマホを持ってる。
「見ろ」
見るとそこには、雅紀の荷物に小袋を入れているさっきの捜査員が写っていた。
「完全にやらせだ」
「じゃあこれ早く…!」
「ああ…その前に、ガオ」
潤はガオにまっすぐ顔を向けた。
「雅紀、逮捕するって知ってたの?」
「知らなかった。大体、なんのガサか聞いてなかった」
「じゃあなんで麻取と知り合いなんだよ」
「あいつが麻取に移ったなんて知らなかった。あいつは昔、少年課に居たんだ。そのころからの付き合いだ」
「少年課?」
「アタシが昔、世話になったんだ」
「ああ…そういうことか…わかった」
潤はにやりと笑った。
「ガオが俺らをハメたんじゃないってことはわかったよ」
「光栄だね。で、どうすんの?これがやらせの逮捕劇だとして」
「さあね…ただ、なんでこんなことしたか、説明してもらわないとね」
「そうね…」
「雅紀の荷物…あ、VIPにあるやつまだ無事だよね?」
「あ、そうだ!雅紀の先輩…!」
智と潤がVIPに向かって走りだした。
俺と翔も後に続いた。
ガオは拳を握りしめて下を向いていた。
風間が、その肩を後ろから優しく抱いていた。