第6章 two
「なんだよ…気持ちわりーな…」
そう言ってる雅紀の顔もにやついてる。
「いいじゃん。また新しい遊び思いついてさ。楽しいじゃん」
「まあね。俺は、またお前と一緒にやれて、嬉しいよ」
「おう…」
「鍵部屋行っちまったら、手が届かなくなるからな…」
「そんなこと…」
「ないって言い切れる?」
「ん…わかんない…」
「だろ?」
その時、急に雅紀がブレーキを掛けた。
「おっ…なんだよ…?」
「翔を伏せさせて」
雅紀が車のライトを消した。
言われたとおり、翔を俺の膝に寝かせた。
「かずくん?」
「しー。ちょっと待ってて」
雅紀がじっと前を見ている。
その先には暗闇に浮かぶ人影があった。
「雅紀…」
「和…あれ、例のおまわりじゃね?」
目を凝らすと、あの時のおまわりのようにも見える。
「わかんね…でも似てる気がする」
おまわりは俺達の住むビルを見上げていた。
暫く見守っていると、おまわりはチャリに乗って去っていった。
知らず知らず息を詰めていたのか、俺と雅紀は息を吐き出した。
「相当…しつこいな…こりゃ…」
雅紀がぽつりと呟いた。