第2章 sanctuary
「お風呂、入ろうな。翔」
こくんと俺の腕で頷く。
守ってやらなきゃ…
なんだか猛烈にそんな気持ちになった。
親指を咥えたまま、翔は俺の後に続いて浴槽に浸かる。
「あついです…かずくん…」
「我慢しろよ。俺より図体でかいくせに…」
そう言って肩まで浸からせたら、お湯がたくさん出て行った。
…先に身体洗えばよかった…
翔は手で水鉄砲を作って、浴槽の外にお湯を飛ばしてる。
こんなに無邪気なのに…
身体には痛々しいロープの跡。
虐待…されてたんだよな…?
一体、どんなやつなんだろ…おじさんって…
翔の真っ白な身体が、ほんのりと色づいてきた。
「よし、身体洗ってやる」
浴槽から立ち上がると、翔が俺の手を取った。
「かずくん」
「ん?」
「きもちいいことする?」
「へ?」
いきなり翔は俺のナニを掴んだ。
「……!?」
慌てて翔の手を振り切った。
「おまっ…何してんだよ!?」
「かずくん…」
翔が泣きそうな顔をした。
まるでこの世の終わりみたいな顔して、俯いてしまった。
「かずくん、きらいですか?」
「えっ…へっ?」
ぽたり、水面に翔の涙が落ちた。