第1章 ~第一章~甘い時間
―プリンセスside―
「お待たせ致しました、リミルス、フィーリア」
ユヅキは肩で息をしながら、ドレスの裾を持ち小さくお辞儀をした。
リミルス「こんにちは、ユヅキ」
フィーリア「相変わらずルイ様もユヅキも公務で忙しいのね」
そう言って二人はユヅキに笑顔を向けた。
二人とは私がプリンセスになって間もない頃に知り合い、それからずっと仲良くしている親友で、彼女達は初めから私が元は庶民だからと言って差別することもなかった。
「ええ…でも今はルイの傍にいられるから、忙しくても頑張れるの」
そう言って少し頬を染めながらユヅキは笑顔で応えた。
リミルス「相変わらず熱々ね~…」
フィーリア「本当にユヅキが幸せそうで何よりだわ」
リミルス「本当に…まさかあのルイ様のハートを射止めるなんてユヅキはすごいわね」
「そっ、そんなことないよ…」
そうして恋の話に花を咲かせていると時間はあっという間に過ぎていった。
――――――…
(話し込んでたら遅くなっちゃった…)
そうしてユヅキは急いでジルの元へと向かった。
――コン、コンッ―…
ジル「どうぞ」
―ガチャッ―…
「失礼します。ジルに少しお願いがあるので聞いていただけますか?」
そう言って少し不安げに眉を寄せたユヅキにジルは笑顔を向けた。
ジル「お願いと言うのは…もしかしてハワード卿と一緒に過ごす時間が欲しい、ということでしょうか?」
「っ!!どうしてそれを…」
恥ずかしくて思わずユヅキが俯くとふっと笑いながらジルは応えた。
ジル「最近、あまりお二人で過ごす機会がなかったですからね。夕食までまだしばらく時間もありますし、お二人ともゆっくり過ごしていただいて構いませんよ」
その言葉を聞いて思わずユヅキは笑顔になり"ありがとうございます、ジル!!"とだけ言って早々に部屋を出ていった。