第2章 ~第二章~二人の想い
―ルイside―
(ユヅキ、先に食べてるかな…)
そう思いながら食堂へと続く扉を開くと、そこには目に涙を浮かべたユヅキと、ユヅキを抱き締めるような形をしたシドがいた
(――っ!!あいつ…っ)
そのままユヅキのもとへと駆け寄り、彼女を背中に庇うようにして、シドの胸ぐらを思いきり掴んだ
「お前、俺がいない間にユヅキに何をした?」
怒りを露にして低い声で尋ねると、シドはふっとからかうような笑みを浮かべた
シド「さあな。そうカッカすんなよ、坊っちゃん。まだ何もしてねえよ。」
(……まだ…)
眉を寄せ、胸ぐらを掴んだままの手に更に力をこめるとユヅキが慌てた様子で口を開いた
ユヅキ「ルイっ!喧嘩しないで…私は何もされてないから大丈夫だよ。……ルイが助けてくれたから…」
ユヅキはにっこりと笑いながら、シドの胸ぐらを掴んでいた手をそっと外し、そのままぎゅっと握った
その姿を見て、わずかに安堵すると、もう一度だけ牽制の意味を込めてシドを睨んだ
「…今度、俺のいない間にユヅキに何かしようとしたら二度と城への出入りはさせないから」
シド「…ったく、婚約もしてるのに相変わらず余裕ねえな。心配しなくても、人の女に手出ししなきゃいけねぇ程、女に不自由しちゃいねえよ。じゃあ、またな」
(…何が「またな」だよ…今度からユヅキの傍に俺がいない時は城へは入れない)
そう心へと誓ったルイは、手をひらひら振りながら去っていくシドの後ろ姿を、眉間に皺を寄せながら無言で見送った