As well be hanged for .....
第11章 裏切りは手に 真実は足に 前篇
キッチンで仕立屋と電話でスケジュールを調整していたセバスチャンは、リビングから聞こえてくるウリエの泣き声に、ついにシエルが加減を知らずにやってしまったかとため息を付いた。
リビングへ向かうも一向に収まらないウリエの泣き声に、ただ事ではないのかもしれない。と足を早めた。
「どうされました?」
「セ、セバスチャン!」
「うあー!ばかー!」
まさか殴り合いにでもなったのだろうか。とリビングに駆けこむと、ウリエはシエルの胸に収まってわんわん泣いているし、シエルは大慌てで彼女の背をぽんぽんと叩いて落ち着かせようとしている始末。
一体どういう事だろう。
「ぼっちゃん。えっと?」
「わからん。ウリエが泣きだしてしまったんだ。」
僕じゃない!と、こちらも子供のように叫ぶ。
誰もウリエが泣きだした理由を知る由もないなら、彼女が泣きやむまで待つしかない。
セバスチャンはシエルにその場を任せ、タオルを持ってきます。とまたリビングを出ていく。
シエルは泣き続けるウリエの背を撫で、なんとか落ち着かせようと、時折声をかけたりする。