As well be hanged for .....
第24章 もう一つの核心と解釈。
あれから五年経った。
あの日、あれから丸三日彼女を探し続けた。
しかし、彼女が居なくなった痕跡は一切見つからず、その場からポッと消えてしまったみたいだった。
「今日で5年か。今だウリエは見つからず。」
「どこかで殊勝に暮らしている。そう、思うことにしたじゃありませんか。」
「この日ばかりは思い出して感傷に浸るくらい良いだろうが。」
「あれから、何も変わりませんね。」
「もしかしたら、全部夢だったのではと思う。」
セバスチャンが戯れの紅茶を注ぎ、その優美な香りを強く確かめるようにシエルは息を吸う。
「まぁ。あれの事だ。四方壁に囲まれた鳥籠で大人しくしているとは思えん。」
「意外にも社交的な方でしたからね。誰かの所へおしゃべりに行ったのでしょう。」
「5年もか?はん。随分長い井戸端会議だな。」
「貴方に貰ったサファイアを自慢するのに時間がかかるのでしょう。口早に鳴く小鳥のように。」
「自由に羽ばたきながら、ぴーちくぱーちく。うるさい奴だ。」
「自由。と言うのは語弊がありますよ。鳥は自由には見えません。」
「じゃぁ、高い塀の中に飼われた犬か?」
「そう、ですね。犬は高い壁を優雅に飛びこす事など出来はしませんから。」
「犬ならステイとカムが出来なきゃならないだろうが。」
「しつけ、間違いましたかね?」
「ウリエの事だ。別の飼い主の元で、僕のことなんか忘れて尻尾を振ってるだろうな。」
「お寂しいですか?」
「いいんだ。これで。」
「魂は貴方の中に居ますからね。あぁ、もしかしたら、あの美しい器の中に別の魂が入りこんだのかもしれませんね。」
「別の、ウリエ・フェンベルグか。ふふ、興味あるな。」
「それは私も興味がございます。いつか、会えるといいですね。」
「あぁ。」
二人の悪魔に愛された、魂の抜け殻。
本当の人形になったウリエ・フェンベルグ。
首輪のような、青すぎるサファイアのチョーカーと共に姿を消した。
きっと今は、21歳の美しい女となっている事だろう。
「おかえりなさいませ、マスター。」
つづく
めぐる
まわる
そう。あなたが気が付いていないだけで。
As well be hanged for a sheep as a lamb.
END