As well be hanged for .....
第10章 女は投げやりに 男は完璧に 後篇
リエラ・フェンベルグの死因は複数の薬物摂取による、薬物中毒死。
また、死亡時期は不明。
こちらも複数の薬品等で腐敗を遅らせていた模様。
「何の薬品かは見当付きそうなの?」
「申し訳ありませんが、さすがの私でも劇物が何種類も混ぜられているので、化学変化等起こして判別付きません。」
そのほかの外傷は無し。
薬物死の他の死因は考えられない。
「あぁ。ですが一つ言えるのは。リエラ様が死に至った薬品は、簡単に手に入る物ばかりと言う訳ではありませんでした。入手困難な薬品の香りもほのかにしていましたから。」
「ハッキリ言え。女王の我儘ぐらいでしか手に入らないブツだと。」
シエルはセバスチャンからの報告書をバサッと投げ、きっぱり言い切った。
ウリエも薄々、そう言う事だろう。と気が付いており、シエルの言葉に俯いてしまった。
「ぼっちゃんには、紳士とは何か。からお教えして行かないといけないようですね。」
「遠回しに言う方が酷だろうが。」
始まりそうになるセバスチャンのお小言を、「待って。」とウリエが遮った。
意外にもシャンとしたウリエの声に、シエルとセバスチャンは少し驚いた。
「では、女王にとって、影を制する存在はもう必要ないってこと?」
番犬であった姉を遊び半分に殺して、もしかしたら父までも。
女王の憂いを払うべく存在が女王自らの手で消されていくと言う事は、その必要が無くなったからではないかとウリエは言う。
「私も消されてしまうのかしら?」
「どうでしょう。今の女王の保身のためには貴女が必要不可欠に思います。」
「どうして?」
「小耳にはさんだのですが…」