As well be hanged for .....
第10章 女は投げやりに 男は完璧に 後篇
しばらくしてキッチンカートに紅茶セットと昼食のサンドウィッチを乗せ、小脇にバインダーを挟めたセバスチャンが現れた。
シエルとウリエはダイニングテーブルへ移動し、昼食を頬張りながらセバスチャンの報告を聞く。
「でもそれ、食事中に聞く事じゃないわよね。」
「では、昼食後にいたしますか?」
「いい。今話せ。」
「シエル。私さっきまで貴方の事、気遣いの出来る紳士だと思ったけど訂正するわ。無神経で子供っぽい。」
「は。レディとして成り立ってないようなお前に気を使う必要なんかない。」
「あぁそう。貴方には無理よね。でもセバスチャンは紳士だからきっと昼食後にしてくれるわ。」
さっきまでのしおらしさは何処へ行ったんだ!とシエルは呻る、向かい端に座るウリエは、そんなシエルを馬鹿にするように鼻で嗤う。
こんな状況でも始まる戦争に、セバスチャンは呆れか諦めか、ため息が出た。
「ぼっちゃん。お嬢様。そのぐらいにしていただきませんと、リエラ様が化けて出てらっしゃいますよ。」
幽霊が叱りに来るぞ。と子供じみた脅し文句だったが、リエラがウリエの姉と言う事もあってか意外にも効果抜群だった。
テキパキと昼食を終えた二人は場所を書斎に移し、デスクの上に薬物に関する専門書や、今までに起きた関連しそうな事件の資料、いつでも検索可能な状態になっているPCが広げられた。
では。と何処からかホワイトボードを引っ張ってきたセバスチャン。
物が広げられたデスクには、シエルとウリエが生徒のように従順に座って待っている。
「まず。リエラ・フェンベルグ様の死因についての報告から。」
ウリエはゴクリと喉を鳴らす。
セバスチャンはそんな彼女を見て、簡潔にそして機械的に説明を始めた。