As well be hanged for .....
第10章 女は投げやりに 男は完璧に 後篇
客間はセバスチャンの手によって、すっかりリエラの安置所となっていた。
清々しく美しい、最後を飾るにはもってこいの荘厳さ。
リエラの棺桶の前では、ウリエ、シエル、セバスチャンの三人が遠慮なくリエラの遺体を調べていた。
「薬品の匂いがきつくて、何の薬品を使っているのかもわかり兼ねますね。」
「私も鼻が曲がりそう。あぁ、ごめんね姉さま。」
「セバスチャン、細かく調べろ、見ているだけじゃ限界がある。」
「それもそうですね。お嬢様、よろしいですか?」
「うーん。姉さまには申し訳ないけど、頼めるかしらセバスチャン。」
「承知しました。」
すぐに終わらせますから。とセバスチャンは二人を客間から追い出す。
シエルは、前はあの葬儀屋の所に通ったな。と、うひひひ!と笑う彼を想像し、ちょっと鳥肌が立った。
部屋から追い出された二人は、リビングに戻りテレビを付けてセバスチャンが来るのを待つ。
ニュース番組はとっくの間に終わっており、内容が良く解らない日本の侍ドラマがだらだらと入っている。
「そういえば、さっきシエルも何か言おうとしてたけど。」
なんだったの?とウリエの隣に当たり前のように座って、ぼけーっとテレビを見つめていたシエルに問いかける。
シエルは、自分の顔を覗きに来た彼女にちょっとドキッとしたが、平静を装って、あぁ。と口を開く。