As well be hanged for .....
第10章 女は投げやりに 男は完璧に 後篇
昨夜遅くまで仕事をしていたウリエは、朝いつもの時間にセバスチャンに起こされてもなかなか目が覚めないでいた。
シエルはもとより睡眠を必要としていないので、眠そうにする彼女を少し羨ましく思う。
「お嬢様。お手紙が来ていましたよ。」
「うーん。うん?」
目をごしごしと擦りながら、セバスチャンから手紙を受け取ったウリエはその封筒に驚いた。
シエルも新聞から顔を上げ、ソファーでだらしなく伸びていた彼女へ視線を向ける。
ウリエは飛び起き、セバスチャンにペーパーナイフを持ってくるように言い、慎重かつ慌てて封を切った。
「ウリエ?」
紙が破れるのではないかと思うほど乱暴に中の手紙を取り出し、真剣に目を通す彼女に呼びかけたが、ちらりともシエルの方を見なかった。
嫌な予感がした。
シエルはソファーの背もたれから彼女の手元を覗きこみ、手紙の内容に遠慮なく目を通して行く。
文字を追えば追うほどシエルの目は見開き、ウリエの目からは大粒の涙がこぼれた。