As well be hanged for .....
第9章 女は投げやりに 男は完璧に 前篇
「こんばんはエドガー。招いてくださって光栄ですわ。」
今日もやはりブラウンのスーツに身を包んだエドガー。
仰々しくウリエとシエルに礼をして見せる。
それから言葉少なく、二人を別室へと案内する。
「ここは?」
「まぁまぁ、そう硬くならないでください。えっと、シエルさん?」
二人が案内されたのは薄暗い客間。
シエルは咄嗟に外にセバスチャンを呼びつけた。
ウリエは慣れた様子で、示されたソファーに座る。
「貴方は知らないかもしれませんが、ずっと続いてきた伝統なのです。」
「いつも、仕事が終わったらどちらかがパーティーを開く約束なのよ。雑種か血統種か。」
ウリエの言葉に、ご褒美の事か。と納得した。
少々形は変わったものの、昔から途切れず裏金と言う物は動いているのだな。とシエルは安心とは違うがホッとした。
エドガーは封筒を一つウリエに手渡し、ウリエはさっと内容を確認する。
「万事解決には至っていないと判断していますからね。ご令嬢?」
「えぇ。私もそう思ってるわ。」
「義足の男」とエドガーは言う。
警察でもやはりこの男の情報は掴めていないようだったが、エドガーはあの子供誘拐事件の悲惨な現場にも「義足の男」の痕跡があったと気が付いていた。