As well be hanged for .....
第9章 女は投げやりに 男は完璧に 前篇
パーティーの日の朝。
とても上機嫌で朝食に現れたウリエに反し、シエルは仏頂面でご機嫌斜め。
セバスチャンは張り切っていて、ウリエに今日のお召し物の話を振っていた。
「……イブニングドレス?」
「うん。」
楽しそうな会話が途切れたのを不思議に思いシエルは顔を上げた。
シエルの向かいではキョトンとした顔のセバスチャンとウリエ。
「どうした?」
「ねぇ、シエルは今日のパーティー何を着ていくつもりだったの?」
「え?いつもの燕尾服を…?」
「えぇ。ぼっちゃんはあぁ見えても一応伯爵でしたから。」
「一言余計だ。」
シエルとセバスチャンはそれではダメだったのだろうか?と顎に手を当て考え込むウリエへ視線を送る。
「あ、あのね。男性はスーツとドレスシャツか、あまりいないけどタキシードよ?18世紀のゴシックききまくりのふりふりおぼっちゃまドレスなんて着てくる人いないわ。」
ウリエの辛辣なドレスのたとえ。
シエルとセバスチャンは馬鹿にされている事も忘れ茫然。
「まぁ、シエルぐらいのお子様ならちょっと気張っちゃいました。で済むと思うけれど、私、18世紀風のレースとリボンたっぷりのプリンセスドレスを人の誕生パーティーに着ていく勇気はないなー。」
時代遅れねー。と呑気に悪魔な二人を小馬鹿にしながら、クロワッサンに噛みつくウリエ。
は!と我に返ったシエルは、目の前で呑気にパンを食べている奴は本当に人間か?と戦慄した。