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As well be hanged for .....

第7章 嫉妬は秘密に 紅茶は一緒に 後編




「解せませんね。私のぼっちゃんのお気に入りに、手を出すなど。」
「なんだ貴様!何処から入りやがった!」

頭の中に響いていたセバスチャンの厭味が、現実に耳に届く。
助かったと思うと同時に情けないとさえ思う。

ドゴ!バキ!とセバスチャンが仕事をする音をBGMにシエルはウリエを抱きしめる。
無事でよかった、こんなことさせるんじゃなかった、守れなくてごめん。
彼女の手から鉈を奪い、見計らってこちらに手を伸ばすセバスチャンへと渡す。

「シエル?どうしたの?」
「ごめん、怖い思いをさせた。」
「ん?」

違う。怖い思いをしたのは僕だ。
自分で自分の大切なものを傷つけようとしていた。
守りたいと思ったものを。
ウリエは自分をぎゅっと抱きしめるシエルの事が不思議なのか、キョトンとしながらもぎゅっと抱きしめ返す。

「ぼっちゃん。終わりましたよ。」
「…殺したのか?」
「いえ、気絶させて縛りあげました。」

これで、犯人グループを検挙出来ますね。と笑顔を絶やさないセバスチャン。
シエルにはそれが余計に情けなかった。

「他の子供たちは助けられなくて、申し訳ございません。証拠撮りに手間取りました。」
「だから、機械を勉強しろといっただろう。」
「そうですね。申し訳ありませんでした。」

セバスチャンに手を引かれ、シエルとウリエは立ち上がる。
まだ、ニコニコとお気楽にマインドコントロールにかかっているウリエを、セバスチャンは一度気絶させ抱き上げる。
シエルには、歩けますね?と声をかけ、血濡れたプレハブを後にする。
プレハブの前には、乗用車が止まっていた。

「これに乗って帰りましょう。お召物も汚れてしまっていますから、公共交通機関では帰れませんからね。」

思い切り、レンタカーと書いてあったがこの際仕方ないだろう。
後部座席に座るシエル。
昏倒しているウリエの頭を膝に乗せ、自分の心を落ち着けるためか、彼女の頭を撫で続けた。


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