As well be hanged for .....
第7章 嫉妬は秘密に 紅茶は一緒に 後編
画面にはごく普通の遊園地の映像といつものCM。
何となくでしかなかったが、不吉な音が混ざっている気がした。
シエルは短いCMを何度か再生する。
しっかり聞きとりたい、何か言葉を発しているのか、はたまた音楽なのか。
じっと耳を凝らして聞くが、その不審な音の正体がなかなかつかめない。
バシッ!と手に握りしめていたリモコンが誰かに奪われ我に返った。
セバスチャンはなにか異変に気が付き、テレビにくぎ付けになっているシエルの手からリモコンを奪い、急いで停止ボタンを押す。
煩い耳鳴りがまだ残っている気がしたが、小さく首を振って振り払う。
「おい、セバスチャン!」
「もう十分でしょう。私たちに聞こえたのなら、お嬢様にも…」
「ウリエ。平気か?」
シエルとセバスチャンの目が仲良く、ウリエの方へと向く。
目を丸くして停止している画面にくぎ付けになっているウリエ。
二人は感づく。
このCMは当たりで、ウリエは難なくそのマインドコントロールに引っかかってしまった。と。
「セバスチャン。ウリエに触るなよ。放っておいて、動いたら追う。」
「はい。わかりました。」
ウリエが動くのは今か?もう少し時間が経ってからだろうか?
シエルはじっとウリエを見つめたまま。
セバスチャンは支度をしてきます。と慌てて部屋を飛び出して行った。
「どうしたの?シエル。」
「お前、何か聞こえなかったのか?」
「うーん…特には?」
けろっとしているウリエ。
冷めかかっている紅茶に口を付ける様子はいつもと変わらない。
けれど、シエルは目を離さない。
いつものウリエからするとおかしいからだ。
CMに何の細工もしてなかった。
となれば、別のチャンネルの録画も確認する。と言いだすに決まっている。
それでも手掛かりが得られなければ、別の方法を模索するような奴だ。