As well be hanged for .....
第6章 嫉妬は秘密に、紅茶は一緒に 前篇
「しかし、お嬢様。子供にだけ。という点に疑問が出るのですが。」
「一つ面白い事を知っているわ!子供と大人は、聞こえる周波数が違うの。」
これにはシエルもセバスチャンも首を捻り、シエルは耐えきれずに先を促した。
ステージのある中央広場のベンチに座り、ウリエは誇らしげに説明をする。
「19~20キロヘルツの高周波音のことをモスキート音、蚊の飛ぶような音、と言うのだけれど、それは20代前半を過ぎると聞き取りにくくなるのよ。」
逆に言えば子供にしか聞こえない音ね。とウリエは言う。
「それは…悪魔にも聞こえるのでしょうか?」
「うーん。聞こえそうよね、悪魔なら。」
今まで気難しそうに眉間にしわを寄せていたシエルが口を開いた。
「あのコマーシャル、ウリエも僕も一度か二度か目にしている。でも、そんな不審な音は聞こえなかったぞ。」
「そうなのよ。」
あと一歩推理が甘いウリエにシエルはため息を付く。勢いだけでここに来たのか。と、そこでまた始まるシエルとウリエの喧嘩。
セバスチャンはそんな二人を止めることなく、顎に手を当てて考えに耽る。
いくらたってもセバスチャンのお叱りが飛んでこない。
シエルとウリエは首をかしげ、思わず傍らに立つセバスチャンに呼びかけた。
「セバスチャン?」
「どうかしたの?セバス。」
「お嬢様の推理はいいところまで行っているのではないでしょうか。」
「ホントに?」