As well be hanged for .....
第6章 嫉妬は秘密に、紅茶は一緒に 前篇
カフェでの密会の後、三人が乗る車は一つの場所へ向かっていた。
「ウリエ、そのファイルの名簿に何か共通点でも見つけたのか?」
「何となくだけど、共通点がないって言うのが共通点だと思わない?」
「は?」
馬鹿にしているのか?とシエルはファイルとにらめっこしているウリエを睨む。
能天気な推察を繰り広げるウリエの顔は意外にも真剣で、セバスチャンに向かうように言った場所に、シエルには見当もつかなかった。
到着した場所はテーマパーク。
平日にもかかわらず、多くの家族連れやカップルで賑わっている。
「子供は一度でいいからこういう場所に来たいはず。そして、よっぽどの理由がない限りここに近づかないなんて事は無いわ。」
ウリエの考えはこうだ。
まず、子供。という点に重きを置いて考えた時、子供なら必ず行く場所、幼稚園や学校、病院。住んでいる住所からしてみんな同じ学校とは考えにくい。病院もまた同じ事が言える。
それに加え、ロンドンの中では比較的交通の便が良いこの遊園地は、多くのロンドン市民イギリス国民が利用する。この場所であれば、行方不明の子供たちの住む住所から考えても一同に会する事もあるだろう。
「しかも、この間からずっとここのCMがテレビで流れているわ。何か細工がしてあったのかもしれない。」
「……コマーシャルに?」
「マインドコントロール的なモノ。」
シエルと手をつなぐウリエを先頭に、三人は楽しそうな遊園地の中へと入っていく。
周りにはたくさんの人たち。巷では子供が行方不明になっていると言うのに、子供たちは無防備で大人たちも無関心だ。
「ハーメルンの笛吹き男…ですか?」
「それそれ。」
シエルは、以前にも似たような事があったな。と頷いた。
しかし、そんな事を特定の人物に向かってだけ発信することなど出来るのだろうか。
今や通信回線の発達により、全世界と一瞬で情報交換が出来る世の中なのに…。と疑問が湧く。
悪魔であるシエルは、ウリエより長く生きている自分が、年下の少女に聞くなど、少しだけプライドが許さなかった。
そんな様子のシエルをセバスチャンは執事らしくしっかりと感じ取り、仕方なく代わりにウリエに質問する。