As well be hanged for .....
第6章 嫉妬は秘密に、紅茶は一緒に 前篇
「子供たちが示し合せて、家出。と言うこともあるかもしれませんね。」
近頃の子供たちは、ませていますからね。とウリエの髪のセットを終え道具をしまいながらセバスチャンが言った。
「では、お二人とも。お勉強の時間です。事件の解決も大事ですが、そろそろお勉強の方も再開していただきませんと、お嬢様の学力低下が否めませんよ。」
「はぁい。」
「ぼっちゃんは、もう少し大人の作法を学ばなければなりませんよ。」
「それを言うならセバスチャン。お前はもう少し最新機器の扱いに慣れるべきだ。」
「私はあくまで執事ですから、ITに強くなくとも平気です。」
シエルはこの家に来てからと言うもの、すっかり電子機器やゲームにハマり、いつの間にか現代っ子のウリエを抜かすほどの知識を得ていた。
前までは勉強の時間をほとんどサボっていたシエルが、今ではウリエと一緒になって机に向かい、ウリエは年相応の勉強を、シエルは難しいITの勉強に勤しんでいる。
セバスチャンはこの現代社会に馴染むために、携帯の電子機器などある程度は使いこなす事は出来るが、シエルの子供趣味な機器に関してはサッパリである。
「シエルは元々おもちゃ屋さんなのよね?」
「あぁ。」
「きっとその所為ね。ゲームは子供のおもちゃだもの。」
ウリエはゲームの事となるとてんでだめで、めっぽう機械に弱いともいえる。
リビングで仲良くゲームをしている姿をちらほら見かけるが、結局はシエルが占領してウリエは隣で見ていると言う図が完成するのだ。
「さぁさぁ。昼食の時間までは頑張りましょう。午後はあの刑事達の所へ行きますからね。」
「おい、ウリエ。それは僕が子供っぽいからとかでも言うのか。」
「今更気が付いたの?シエルはお子様でしょー?」
勉強部屋へと二人の背中を押すセバスチャン。
いつものように始まった二人の戦争もなんのその。
なんだかんだ言いながらも同じ部屋で静かに勉強するのだから、今ぐらいは騒がしくても目をつぶろう。
外へ出たら別だが。と、セバスチャンは二人の背中を見て笑った。