As well be hanged for .....
第5章 砂糖は多めに 塩は少なめに 後篇
勝てない。勝ち負けとかそういう次元ではない。
同じ土俵に上がることすらできない。
エドガーは、ぽかん。とウリエの事を見つめているトーマスを無理やり引っ張って人込みに紛れ、あの三人が見えなくなるまで振り返る事は無かった。
「せ、先輩!情報って?」
「おら。よく見て、その空っぽな頭に詰め込んどけ!」
ぐしゃり。とトーマスの手に押しつけられた紙きれ。
「えと、右足義足の男、大麻サロン殺人事件?これ、何ですか?」
「馬鹿。犯人の特徴と、この事件がこの間の頭のイカレタ野郎の起こした事件と繋がってるかもしれねぇってリークだ。馬鹿。」
トーマスはまじまじとメモを読み返す。
一体どうしてこんなことを、あんな可愛らしい女の子が知っているのだろうか。
疑問は膨らむ。
そして、自分の先輩のエドガー・レオーネンは、ただの金持ちボンボン刑事ではないのかもしれない。と尊敬の視線を送るばかりだった。