As well be hanged for .....
第5章 砂糖は多めに 塩は少なめに 後篇
まだ昼も過ぎていないと言うのに、ぎらぎらと獲物を探すような瞳のエドガー。仕事中なのだろう。
その横では、ウリエの前だからだろうか緊張した面持ちのトーマス。
「優雅にカフェですか。もう、お手上げですかな?」
「いいえ。ここで張り込み中よ。」
ウリエは手にしていたアイスティーのカップを振って見せる。
エドガーはそんなウリエ達を鼻で笑い、呑気ですね。と厭味。
「何か。有益な情報でも掴んだのですか?ご令嬢。」
刑事としてのプライドが邪魔をするが、警察の捜査は一向に進展しない。
目の前に何か掴んでいる風の人間がいれば、是が非でもその情報を聞き出したい。
それが、自分より年下の子供だとしてもだ。
「セバス。」
「はい。」
少女は隣にいる執事に紙に何かを書かせている。
なにも、エドガーは目の前の少女の事を見くびっている訳ではない。
自分よりはるかに金も権力も裏の力もあるのは承知している。
昔から彼女の一族が女王の番犬をしている事ももちろん知っている。
自分も似たような事をさせられる事もあるからだ。
故に、彼女の力が及ぼす影響も、動かせる権力がどれだけあるのかも身を持って知った。
「エドガー。これが新たに掴んだ情報よ。」
「どのような経緯で…?」
「それは秘密。私には私のやり方がある。貴方には貴方のやり方があるように。」
エドガーの黄色みがかった狐目の瞳と、ウリエのエメラルドの瞳がぶつかる。
「ぜひとも、このロンドンの平和はあなた達警察が守ってくれると嬉しいわ。」
「……えぇ。ご期待に添えるよう、精進しますよ。」