As well be hanged for .....
第5章 砂糖は多めに 塩は少なめに 後篇
朝、セバスチャンが屋敷に戻ると不機嫌な自分の主人が待っていた。
「遅い。」
「申し訳ありません、今すぐ朝食の支度を。」
「早くしろ。」
リビングのお気に入りのソファーに座って、テレビのニュースを見ているシエル。
そんな彼を見てセバスチャンは、寝起きの悪いシエルを、あの手この手でなだめすかして起こしていたあの日々を思い出す。
悪魔に睡眠や食事は必要ない。
それでも、シエルとセバスチャンの二人はゴッコをやめようとは思わない。
茶番だと解っていても。
「お嬢様は?」
「さぁ。」
紅茶をシエルの前に差し出して、もう一人の存在を思いだす。
決して忘れていた訳ではないが、今まで二人で過ごして来た日々が長すぎて、まだウリエがいることに馴染まない。
「起こして参ります。」
眠る必要の無いシエルの頭に、少しばかり寝癖が付いている事には気が付かないふりをして、セバスチャンはウリエの部屋へと向かう。