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As well be hanged for .....

第4章 砂糖は多めに 塩は少なめに 前篇



季節は初夏。
まだ、じりじりと肌を焼くような季節ではないが、ウリエはつばの広い帽子を被り、シエルにはセバスチャンが日傘を差す。

今朝方発覚した事件故、現場には関係者以外の立ち入りを禁ずる黄色のテープが張られ、野次馬の侵入を拒否していた。

「おい!君たち何やってるんだ!」

制服の警官が、躊躇なく黄色のテープを持ちあげるセバスチャンと、当たり前のようにその先へと足を進める、ウリエとシエルに驚き声を上げる。

「この先に用事があるのですが。」
「先?!馬鹿言うな!ここの家の奴らは全員死んでるんだぞ!見てわからんか!」
「その死んでいる奴らに用があるの。」

自分の倍近くは大きい警官を、緑の瞳で睨みつけるウリエ。
子供とはいえ、人を威圧するような視線に警官は慄いてしまう。

「おい。どうした。」
「は!こいつらが勝手に!」

警官と同じような制服を着た人や、鑑識官と呼ばれる人たちの集団から慌てて出て来た、しゃれたブラウンのスーツの男。
年は40後半と言ったところだろうか、ブラウンが似合う金髪の男だ。

「君たち、ここは……うん?伯爵令嬢。」
「お久しぶり。エドガー・レオーネン。」
「お仕事ですかな?」
「えぇ。そうよ。」

厄介事か。と眉をひそめていた男、エドガー・レオーネンは彼女の顔を見るなり態度を豹変させ、まるで腫れものを扱うかのように、ウリエ達三人を連れて野次馬から離れる。

「なんとなく、出しゃばって来るんじゃないかと思ってましたよ。」

ただ事じゃありませんからねぇ。と少し喧騒から離れたところで立ち止まるエドガー。

彼もまた、女王近辺の情報には詳しい人物で、彼の一族は大きな貿易商だ。
表でもウリエとは面識があり、ウリエの父親の事件を担当した刑事でもある。


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