As well be hanged for .....
第4章 砂糖は多めに 塩は少なめに 前篇
「しかし、楽になったな。服も。」
「昔とは違うわよ。縫製技術だって進歩してるもの。」
「昔の女は今のお前みたいに、だらしない服は着なかったからな。」
「…どういう意味よ。」
「さぁな。」
運転席から、後部座席に座る小さな紺色の犬達を、バックミラー越しに見つめるセバスチャン。
きゃんきゃんと揉め始めたシエルとウリエを、叱ろうとは思わなかった。
「なに。よくネグリジェみたいなワンピースで街を歩けるなと感心しただけだ。」
「ネグリジェですって?!これのどこがネグリジェなのよ!」
「どう見たってベッドルームで着る服だ。僕にはその感覚がわからないね。」
「古い感覚の持ち主は、最近の常識を知らなくて頭が痛いわ。」
「常識?人に肌を堂々と晒す事が常識だと?」
「適度にって言ってくれる?」
段々と声が大きくなり、ぎゃんぎゃん!と吠え始めた二人に、セバスチャンは仕方なく小言の水をぶっかけ静かにさせる。
事件の事を調べに行くので、緊張して興奮するのもわかる。
けれども高揚した気持ちを、吠える事で解消しようとするのは、良家の子息と息女として如何なものか。とセバスチャンのお小言は続いた。