As well be hanged for .....
第24章 もう一つの核心と解釈。
「一番に驚いたのが、あのお子様だったぼっちゃんが何かと貴女を気にかけた事ですかねぇ。成長。とでもいうのでしょう。悪魔があくまで悪魔らしく成長しないでどうするんでしょうか。今更人間らしくなったところで報われはしないんですが。見てて面白いから良いです。」
体中をしっかりとシャワーで洗い流し、柔らかなタオルで水分を拭きとっていく。
髪を乾かしながら、セバスチャンはまた口を開く。
「私が一番懸念しなければならないのは、貴女の管理ですよ。まったく。手のかかるお嬢様ですよ。いえ、そもそもそうさせたのはぼっちゃんでしたね。貴女に文句を言うのは筋違い。お手直しも、結局は中途半端で。変にいじられなくて、足の火傷はきれいさっぱり消せましたけど。不幸中の幸い?少々違う気もしますが。」
全裸のまま椅子に座る彼女に次は肌のケアを施してから、テキパキと服を着せてゆく。
コロンを纏わせながら、はばかることなくお喋りを続ける。
「脆いですからね、貴女の体は。手入れを怠れないのが難点。これは貴女のためにやっているのか、はたまたぼっちゃんのためにやっているのか。まぁ、後者でしょうね。おっと、サファイアを忘れるところでした。これを忘れるとぼっちゃんが不機嫌になられますから。ご自分の持ち物に欠けがあるのは許せない性質の様でして、手のかかる。」
シエルの望み通りの彼女が出来上がると、セバスチャンはスズランの香りのする彼女を抱き上げ、彼女の所有者の元へゆっくりと戻る。
「ぼっちゃん。貴方のお人形が仕上がりましたよ。」
「あぁ。イスに。」
「ベッドじゃなくて?」
「じゃぁ、ベッドに。」
一度履かせた靴を脱がせ、丁寧にシエルのベッドの傍らに彼女を寝かせる。
薄い毛布を彼女にかけると、わずかな風で彼女の纏うスズランの香りが部屋に舞う。
「ぼっちゃん。今日の夕食は如何いたしましょう。」
「今日は良い。寝る。朝に紅茶を入れに来い。」
執務机を立ち上がり、服のボタンを外し始めたシエル。
セバスチャンはそれにならって、シエルを寝間着へと着替えさせる。
「では、朝に。」
自分の主人がベッドに横になったのを確認し、セバスチャンはこの部屋を後にした。