As well be hanged for .....
第24章 もう一つの核心と解釈。
ここはロンドン郊外、元はフェンベルグ家の本邸だった古い屋敷。
この家主は既に他界しており、土地はすべて国に返還され、今この広大な敷地に人が立ち入ることはない。
もしもこの屋敷に幽霊が住んでいると噂になるとしたら、それは本当の事。
別に法律に触れる事をしている訳では無いので、シエルとセバスチャンの二人は堂々とこの屋敷で暮らしている。
「ぼっちゃん。そろそろお嬢様のご入浴のお時間ですが?」
「あぁ。たのむ。」
シエルの部屋のワインレッドの絨毯。
血の色の様な夕日がシエルとセバスチャンの足元を照らす。
セバスチャンの靴先がクルリと向いた先には、華奢な女物の靴。
その靴を履いている女の子は、静かに与えられた椅子に腰かけたまま。
「では、お嬢様。夕食の前にお身体を流しましょう。」
セバスチャンは彼女の前でにこりと笑う。
膝の上に綺麗に揃えられた両の手を優しく掬い上げ、その身体を自分の胸に引き寄せる。
「セバスチャン。コロンの匂いは何にするつもりだ?」
「スズランはどうでしょう?」
「そうだな。それでいい。」
「では、お召し物のお色もクリーム色にいたしましょう。」
「たのむ。」
「はい。」
するりと彼女のひざ下に腕を入れ、ふわりと抱き上げる。
失礼します。とセバスチャンはシエルに一礼し、長い廊下を歩き始める。
「まったく、ぼっちゃんが変な趣味にはまってしまった。貴女のせいですよ?お嬢様。そもそも貴女が美味しそう過ぎるからいけなかったんです。まぁ、止めなかった私にも多少責任はあるかもしれませんが……。」
浴室で彼女の召し物を戸惑うことなく脱がせ、半分ほど暖かい湯を張った湯船にゆっくり優しく座らせる。
ふわふわに泡立てたボディタオルで、その白くすべらかな陶器の肌を撫でるように洗う。
「けれど、気の強い貴女と融通の利かないぼっちゃんがあそこまで仲良くなられるとは、私にも予測が付きませんでしたよ。ぼっちゃんもあぁ見えてかなり紳士な方だったと言うことなんでしょうが。いや、まさか。貴女が絆されてしまうとは。男女の機微とは理解しがたいものですね。」
次に深緑のセミロングの髪を優しく塗らし、シャンプーで丁寧に洗っていく。
しっかりとケアも施し、なめらかな髪になるように手をかける。