• テキストサイズ

As well be hanged for .....

第24章 もう一つの核心と解釈。




翌朝、セバスチャンがシエルの部屋を訪れると、シエルの大切な人形はイスに座っていた。
セバスチャンは紅茶を用意し、彼の着替えを手伝う。

「セバスチャン。今日は食事に行きたい。」
「奇遇ですね。私もそろそろ空腹に耐えられなくなってきていたところでした。」

本日の予定は決まった。
まだ日は高くある時間だが、二人はきちんと支度を済ませ屋敷を出る。

「現代の服はやはり着慣れないので、変ですね。」
「お前は特にだな。」
「否定できませんね。ジーンズなんてこういう時しか履きませんし。」
「まぁ、ジャケットなのがせめてもの救いか?」
「ぼっちゃんのラフなTシャツ姿も見慣れませんよ。」
「それもこれも、目立たない為だ。」
「ふふふ。そうですね。」

このイギリスでは数カ月に一度、失踪するはずのない人間が二人ずつ失踪する不可解な出来事が起こる。
しかし、人々はそんなニュースを、またか。と携帯端末で確認するだけ。
テレビニュースで取り上げられても、長くて15秒がいい所。
白昼堂々の失踪だと言うのに目撃者はいない、痕跡もない。
そんなニュースが明日また流れると決まると、シエルとセバスチャンの二人は優雅に屋敷に戻ってくる。

「まったく。近頃の食事はただただ腹を満たすだけでつまらないな。」
「仕方ありませんよ。貴方は一度、最高を味わってしまっていますから。他が劣るのは当たり前のこと。」
「そうだな。あいつを上回る奴がいるとすれば奇跡だ。」
「えぇ。食べ終えてもなお愛でるのですから、そうとうな事ですよ。」

和やかな雰囲気のままシエルは自らの部屋に戻る。
セバスチャンが扉を開け、シエルが一歩踏み入れた時だった。

「ウリエ?」

彼女の名前を呼んだシエルがカチリと固まった。
釣られて部屋を覗きこんだセバスチャンは、いつものイスに彼女の姿が無い事に気が付くや否、慌てて屋敷中の気配と異常を探る。

「侵入者の形跡はございません。」
「一人でどこかへ行ったのか?」
「そんな事はありえません。葬儀屋の手にでも掛からない限り。」
「探せ、セバスチャン。」
「御意、ご主人様。」







―――……
/ 244ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp