As well be hanged for .....
第21章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 後編
心底満足そうなウリエの笑顔に、エドガーはただ握られるだけになっていた銃を持ちあげた。
「貴女まで、悪魔になる必要はありません。」
撃鉄が上げられ、引き金が引かれる。
白い硝煙を上げる黒い小銃は、びたり。とその照準を少女の胸に向けたまま固まっている。
小刻みに体を震わせるのはウリエ。
心臓のリズムと共に穴の開いた胸から血液が噴き出してくる。
「エドガー…次は、あなたが」
がくがくと大きくひざが震え、ウリエがその場に倒れこむ。
彼女の無様なその姿をシエルはただただ黙って見つめているだけ。
セバスチャンはため息とともに、面倒な事を。と小さく首を振る。
「イエス…マイ、レディ……」
倒れた彼女の前に膝をつき、絶対の服従を誓うのはこの場でただ一人の生きた人間の男だった。
「セバスチャン。命令だ――――」
「きっと、ぼっちゃんは尻に敷かれるタイプですね。」
「…なんの話だ。」
「夫婦ごっこの話ですよ。」
「ままごとみたいな子供の遊びなんかするか。」
「おや、今でも十分恋人ごっこしているじゃありませんか。」
「………。」
(良き母はふしだらに 猫は不自由に 後編)