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As well be hanged for .....

第21章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 後編




「だらしが無いわねエドガー。このくらいの事で腰を抜かしてどうするの。」
「ご令嬢、貴女は一体何をしたのかわかっているのでしょうな。」
「飼い主に噛みついたのよ?」
「それが!一体どれほどの罪になるとお思いですか!」
「さぁ。」

日が落ち辺りは薄暗くなる。
赤に染まったドレスも、段々色が見えなくなり黒くなる。

「ウリエ。行くぞ。」
「うん。」

ウリエは愛おしそうに呼ばれた自分の名前に振り返り、自らの手でその命の灯を吹き消した母親を気にも留めず跨いでいく。
シエルはこちら側にやってきたウリエに手を差し伸べ迎える。
セバスチャンはそんな二人に向かって軽く頭を下げ、先導するように先へ足を進める。

「ご令嬢!」

まるで霞のように消え行こうとする少女の背を、エドガーは呼びとめる。
震える脚を叱咤し、なんとか立ち上がり、見逃さないようにと睨みつける。

「教えてください。なぜ、貴女は「女王の番犬」など……」
「父の跡を継いだのよ。父もまた先代の跡を継いだの。そうやって私たちは生まれる。だから、これしか知らないの。」
「もっと楽に生きろと言われても、僕らはこうある事で、自らでいられる。」
「少年…君は一体何者だ。調べても調べても君の事は一切出てこない。なぜ、ご令嬢はそんな奴を側に置くのです!」

生きろ、生きろ!と叫ぶエドガーにウリエは振り返り笑顔を見せる。


「自分の心ぐらい、自由でいてもいいじゃないの。」


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