As well be hanged for .....
第21章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 後編
エドガーはその時初めて、なぜ女王の特例を受ける影の者たちが代々「女王の番犬」と呼ばれているのか理解した。
彼女の首に飾られたサファイアのチョーカー。
それが首輪に見えたのだ。
きつく、きつく締まるその首輪は、次の番犬になろうとしているエドガーに、今まさに付けられようとしている。
「『首輪を食いちぎり、ご主人様に牙を向けた飼い犬はどうなると思う?』」
「え?」
「『殺処分よ』」
彼女の口から発せられた声なのに、彼女の声ではない気がした。
番犬にしか聞こえない、先に逝った番犬たちの声。
ぐるぐるとその言葉が頭にまわる。
「貴方はこちらに来るべきではないわ。」
彼女に向けられていた真っ直ぐの銃口は、彼女の手によって下げられた。
もう、エメラルドの瞳は燃えていない。
違う。
燃えていないのではない、その炎は自分ではない誰かに向けられたのだ。
「きっと貴方じゃ、可愛らしく吠える事しかできないわよ。」
悲しそうにクスクス笑う彼女に、自分は守られたのだと理解した。
自身のなにもかもを、彼女のその一言で。