• テキストサイズ

As well be hanged for .....

第21章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 後編




エドガーはその時初めて、なぜ女王の特例を受ける影の者たちが代々「女王の番犬」と呼ばれているのか理解した。
彼女の首に飾られたサファイアのチョーカー。
それが首輪に見えたのだ。
きつく、きつく締まるその首輪は、次の番犬になろうとしているエドガーに、今まさに付けられようとしている。

「『首輪を食いちぎり、ご主人様に牙を向けた飼い犬はどうなると思う?』」
「え?」
「『殺処分よ』」

彼女の口から発せられた声なのに、彼女の声ではない気がした。
番犬にしか聞こえない、先に逝った番犬たちの声。
ぐるぐるとその言葉が頭にまわる。

「貴方はこちらに来るべきではないわ。」

彼女に向けられていた真っ直ぐの銃口は、彼女の手によって下げられた。
もう、エメラルドの瞳は燃えていない。
違う。
燃えていないのではない、その炎は自分ではない誰かに向けられたのだ。

「きっと貴方じゃ、可愛らしく吠える事しかできないわよ。」

悲しそうにクスクス笑う彼女に、自分は守られたのだと理解した。
自身のなにもかもを、彼女のその一言で。

/ 244ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp