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As well be hanged for .....

第21章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 後編




この夕刻の美しい時間を、一気に夜にしてしまうようなシエルの強い声。
母の持つ銀色のナイフが、ウリエの顔から数センチのところで止まった。
真っ直ぐ、エメラルドの瞳に向かって来ていたナイフにようやく気が付き、石膏像のようにがっちりと固まっていたウリエの体が震えだす。

「セバスっ、剣を!」

右手は腰を探る事をやめ、後ろに控えるセバスチャンへと伸ばされる。
間髪いれずに渡された、抜き身の凶器にウリエは安心する。

「私のパピーは、自分を生んだ母親に手を掛けるの?イケない子。」

クスクス。と細やかな花が風で揺れるように笑う女王。
ウリエは立ち上がり、その手に握った剣を振るって自らの母親の首を飛ばした。
躊躇ない剣筋。
日本の侍が、藁束を一瞬で切り落とすような見事な一太刀。

「…悪魔め。」
「黙れ、エドガー。」

初めて聞いたその声に、ぞくりと鳥肌が立ったシエル。
そんな声も出るのだと驚く。
ウリエから漏れた、地を這う事を覚え、影にまぎれて歩くことに慣れた者の音。

「我らが汚れ無き女王に、悪魔の番犬は似合いませんな。」
「エドガー。仕事を失敗したのはあなたでしょう?その口はお喋りをするための口かしら?」
「申し訳ございません。この口はあなたの命に従って獲物を噛み砕くものです。」
「わかっているのなら。良いわ。」

芝生に赤い染みを作る、ウリエの母親の死体を片足で踏み、胸元から取り出した黒い小銃を、踏みつけた彼女の娘に向ける。

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