As well be hanged for .....
第21章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 後編
秋晴れのおかげで真っ赤な夕日が山の向こうへと顔を隠して行く。
本邸の壁も庭も何もかもが、紅葉の色に染まる。
主たちが留守にしている間も、フェンベルグ家に仕える者たちは、一切手を抜かずいつ屋敷の主たちが帰ってきてもいいように美しい庭を保っていた。
庭の真ん中に広がる芝生もきちんと切りそろえられており、まるで作り物のよう。
「お見えになりました。」
セバスチャンの言葉にウリエは緊張し、身体が固まる。
シエルは固く握られたウリエの手に自分の手を重ね、ここにいる。と握りしめた。
一番に芝生に現れたのは、既に顔なじみになっている男。
次いでやつれた様子のウリエの母親と思われる女性と、全身を汚れ無き白色で固め、顔も白いベールで隠している女王と思しき女性。
その二人の両脇を固めるのは、女王のボディーガードだろう。
こちらの二人もまた真っ白なスーツに身を包んでいる。
「昨日ぶりですね。伯爵令嬢。」
「……エドガー。」
「おぉ、怖い。あまり怖い顔をしていると母君が悲しみますぞ。」
飄々とこの場の空気を壊すような態度を取るエドガー・レオーネン。
その格好はいつものしゃれたスーツではなく、真っ白な燕尾服だった。
一目で女王の息が掛かる人間だと解る。