As well be hanged for .....
第21章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 後編
「お嬢様のお召し物と合わせてみましたが、いかがですか?」
「別に、なんでもいい。」
あまりいつもと代わり映えしないが、下は紺に白のストライプが入ったハーフパンツに黒の靴下と茶の皮靴。
山吹色のハイネックにこちらは紺一色の長袖ジャケット。
胸元には真っ赤なポケットチーフ。
帽子は被らない。
「今風だな。」
「では、お嬢様曰く、18世紀のゴシックききまくりのふりふりおぼっちゃまドレスに代えますか?」
「やめろ。これでいい。」
今回も少し背を伸ばし、それに合ったステッキを手に持ち、エントランスで待つウリエの元へ急ぐ。
「待たせたな。」
「ううん。」
玄関先に既に付けてあった車に乗り込み、目的地のフェンベルグ本邸に向かって走り出す。
何となく居心地が悪いな。とハンドルを握るセバスチャンがバックミラーで後部座席を確認すると、珍しく喧嘩をせず、互いにそっぽを向いて外を眺めている二人。
アクセルを踏めば、二人の口の動きも早くなると言うのに、今日ばかりは閉じたままだった。
妙に背中がむずむずするのは、求め過ぎだろうか。