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As well be hanged for .....

第21章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 後編




ウリエは女の子らしく、広げた服を次々と拾い集め、畳んだり掛けたり、と片付けを始める。
セバスチャンもテキパキと片付けを手伝う。

「ねぇ、セバス。」
「はい。」
「これで最後なのかしらね。」

感傷に浸った乙女のように、憂い顔でそんな台詞を吐いているのか、とウリエに視線を送ったセバスチャン。
しかし、ウリエは意外にも、しっかりと筋の通る凛とした横顔のまま、片付けに勤しんでいた。

「私が剣を振るうのも、緊張で震える脚を無理やり押さえつけて胸を張るのも。」
「怖いですか?」
「いいえ。」

迷うことなく言い切るウリエ。
葉を散らし、次の春に備える枯れ木のようにどっしりとした言葉だった。
子供な主人ばかりを見て来たからなのか。
それとも、今の子供はませているからなのか。
世の勝手を知っている老人のように見えた。

「さすがです。お嬢様。」

面白い。
セバスチャンの頭に浮かんだのはただその一言だけ。
彼女は自分のおもちゃではなく、自分の主のおもちゃ。
ロングセラーのヒット商品。
しかし、この世にただ一つのおもちゃだ。
大切に扱わなければ主人に怒られてしまうだろう。


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