As well be hanged for .....
第21章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 後編
未だに部屋から出で来ない彼女の事を、きっと主人は邪推しているに違いない。とセバスチャンは笑う。
ウリエはとっくのとうに起きており、部屋から出てこない理由は今日のお召し物で悩んでいるからだ。
それも、シエルに見せるための召し物ではなく、もしかしたら女王にお目にかかる事があるかもしれない。と悩んでいる。
昨夜の事は頭の端っこに追いやられている事だろう。
「お嬢様、入りますよ。」
「えぇ!」
すこし怒ったような返事が返ってきて、セバスチャンは頭を抱える。
扉を開けば、案の定どうやったらここまで散らかす事が出来るのだろうかと思うほど、足の踏み場もなく所狭しと服や靴が散乱している。
「どうしよう、セバス。」
「あまり気張らないお召し物の方がよろしいと思いますよ。何もない、と言う事はきっとないでしょうから。」
「じゃぁ、これなんかどう?」
何枚か重なって広げられていた服の山から、引っ張りだしたのは山吹色の厚手のワンピース。それからクローゼットの中から紺の七分袖ジャケットを取り出し、重ねて見せる。
「秋らしくて素敵です。」
「これにするわ!靴は真っ赤なサンダルに白い靴下。」
「かしこまりました。」
ようやく決まった今日のお召し物にセバスチャンはホッとする。