As well be hanged for .....
第4章 砂糖は多めに 塩は少なめに 前篇
また一件、事件が起きた。
ここ数日メディアを騒がせている事件だ。
ニュースで詳細が語られる事は無く、この町の善良な市民は夜な夜な不安に駆られている。
「お行儀が悪いですよ。お嬢様。」
「うん…。」
セバスチャンのお小言に上の空で返事を返すウリエ。
彼女の手には、今朝届けられたばかりの新聞と、朝食のために焼かれたサクサクのクロワッサン。
最近の彼女の感心事と言えば、巷を騒がせている『連続、一家惨殺事件』
この所、この屋敷では大規模な喧嘩は起きておらず、セバスチャンが図らずとも、シエルとウリエが仲良くこの事件の事を調べているのだ。
「あ!返してセバス!」
「いけません。食事がお済みになってから読んでください。」
セバスチャンの手によって取り上げられた新聞は、あっという間に彼女の目に付かない所へとしまわれた。
むくれるウリエを澄まし顔で見ていたシエルは、セバスチャンの注意がウリエに向いている事を良い事に、朝食を終えようとナイフを置く。
「ぼっちゃん。」
「……なんだ。」
「もう少しお食べなさい。」
この悪魔め!
とテーブルに座る二人は思う。
セバスチャンはそんな事を知ってか知らずか、テーブルの側を離れることなく、二人の監視と食後のティーを準備する。