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As well be hanged for .....

第20章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 前篇




「お母様、大丈夫かしら。」
「信じてないのか。」
「そりゃぁ、姉さまがあんなことになったし、祖父母だって…。」

まさに女王に首輪をつけられた飼い犬。
好き勝手放題だ。
ウリエは天蓋の星空を睨みつける。
まるで、その偽物の空に姉や祖父母がいるかのように。

「復讐なのかしら。」

復讐?とシエルが彼女の言葉を繰り返す。

「身内を殺された報復として、私は女王を殺すのかしら。それとも、国の未来を思って女王を殺すのかしら。」
「復讐せずに生きてこられた人間がいたのなら見てみたい。やられたらやり返す。抜かされたら抜かし返す。出し抜かれたら出しぬき返す。そんな物だろう。」
「競う。ってこと?」
「まぁ、そうだな。ゲームだって、技術だって、スポーツだってそうじゃないか?」
「殺しが、競う、事になるのならそうかもしれないけど…」
「生きるか死ぬか、殺すか殺されるかの世界にいるなら、競うことに変わりはない。」

単なる正当化かもしれない。
いい訳とも言うだろうか。
無理矢理の大義名分を掲げ、偽物の英雄になる。
それで誰かの心が救われるのなら、その誰かの英雄になる事は出来る。
この世に生きるものすべてが勝者になる事は不可能。

「あまり深く考えるな。お前はいつもそう。考えて悩んで結局は最初の案に戻る。」
「そうなの?」
「あぁ。いつもそうだ。」

そうと決めたならそれでいい。

「そっか。じゃぁもう悩まない。明日で終わる。」

ウリエのその言葉に、恐怖や後悔はなかった。


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