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As well be hanged for .....

第20章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 前篇




「あぁ、ご病人がいるとお聞きしていましたが?」
「おかげさまで。すっかり良くなったわ。」
「もしや、ボーイフレンドでしたかな?」
「えぇ。」
「ここにお住まいで?」
「そうね。長いホームステイみたいなものだけれど。」

そうですかそうですか。とエドガーは頷きながら、今日もしゃれているスーツの内ポケットに手を入れる。
物騒なものでも出で来るのでは?と身を固くするのはウリエの仕事ではない。
セバスチャンはエドガーの前に紅茶を用意しながら、にわかに警戒する。
しかし、エドガーが取りだしたのは2通の封筒。
一つは茶色のご褒美が入っているだろう封筒、もう一つは真っ白な封筒に赤い蝋が押してあるもの。

「こちらが、上からの報奨です。それと、こちらはポストに刺さっていましたよ。」

怯えるでもなく、自身に満ち溢れてではなく、普通に差し出された二通の封筒。
セバスチャンがそれを受け取り、ウリエに渡す。

「……確かに受け取ったわ。でも、こちらの封筒、ポストに刺さっていた?切手が張ってないわよ。」
「さぁ。それは私には解りかねますな。ご面倒かと思い持ってきてしまいましたが、迷惑でしたかな?」

エドガーが疑問を投げかけたのは、ウリエではなく、セバスチャン。
セバスチャンはエドガーに笑顔を向ける。

「いいえ、滅相もありません。お気づかい感謝します。」

みっともない大人の喧嘩にウリエは大きく息を吐く。
そして、特にエドガーとする世間話もないため、用が無いなら帰れ。とソファーの背に身を投げる。

「では、私は何かと忙しいので、お引き取り願えますか?」
「えぇ。私も用は済みましたからね。また、どこかで。」
「あまり顔を合わせたくはないのだけれどね。」
「はっは。それは私もですよ。」

では。と大人の余裕で優雅に一礼し、セバスチャンがエドガーを玄関まで案内して行った。

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