As well be hanged for .....
第20章 良き母はふしだらに 猫は不自由に 前篇
「すっきりしないわ。」
「天気か?」
「違う。爆破事件の事よ。」
まだ引っかかっていたのか。とシエルが紅茶のカップをソーサーに戻しながら言う。
ウリエにはどうにも、慎重に慎重を重ねるようなRの欠けた集団の計画の中に、唐突なバッキンガム宮殿爆破が異様に突出して見えていた。
もしかしたら、あの犯行計画が事細かに書かれたダイアリーは、後々に作成された物なのではないか。
もしくは、ファシルではない別の人物によって書かれた物なのではないか。
いや、あれは完璧にファシルの筆跡に間違いなかった。
「計画が浅はか過ぎるような気がしてならない。女王を狙うとすれば、お忍びで来る予定のものを狙うのはリスクが大きすぎるわ。」
「別の情報筋でくることを掴んでいたとか?」
「でも、結局女王は来なかった。ドタキャンよ?」
「計画に行き詰ったか。」
「さすがにそこまではわからないわね。」
コツコツ、と空になったお皿をフォークでつつくウリエ。
と、そこへ二人の思考を遮るようにインターフォンが鳴り、来客を告げた。
セバスチャンが玄関へ向かい、意外な訪問者のために扉を開いた。