As well be hanged for .....
第19章 勝利は未熟に 死は盲目に 後編
「う……」
「嫌ならやめる。抵抗しろ。」
「…うん。」
シエルの手がそっとネグリジェの上から、ウリエの腰を撫でる。
ラインを確認するように、そこにウリエがあるかを確認するように。
思わぬ感覚にぎゅっと身を固くしたが、その度にシエルはウリエの額や瞼、頬にキスを落とす。
自分の下でいちいち体をこわばらせるウリエ。
その反応が堪らなく面白くて、何度も何度も繰り返す。
初めて触れる訳ではないのにとても新鮮で、イケない事をしているのではないかと、背徳感が堪らない。
ぎゅっと目を閉じて、無意識だろうが両手を胸の前で、何かに祈るように握りしめている彼女は暗がりの中で美しく煌めいた。
「ぅふ…」
知ってか知らずか、触れる度に漏らす声。
その度にクスクスと笑いがこみあげてくる。
やめよう。
ここらへんで。
止まらなくなってしまいそうだ。
「シエル…?」
手を止め、彼女を見下ろす。
求めているのか、ただの困惑なのか、彼女が自分を見上げる。
あぁ。この爪と小さな牙で、目の前の愛おしい人形を切り裂いてしまいそうだ。
「……」
「シエル?」
緑に煌めく両眼が、清らかな視線でシエルを射抜く。
まるで天使のような瞳に、悪魔の自分が妙に穢れている物のように感じてしまった。