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As well be hanged for .....

第19章 勝利は未熟に 死は盲目に 後編




「汚しちゃいけない。」
「え?なんて?」

無垢な瞳。だけど、その瞳の奥に何をされるか理解している、知的な色が見て取れた。
だけど、自分は本能に任せ、緊張でこわばる彼女を無理にでもこじあける所だった。

「いや。もう寝よう。体を治すのが先だ。」

無理に冷静にセリフを吐けば、ウリエの顔から恥じらう乙女が消えた。

それでも逸らされない彼女の視線が、男としての自分を責めているようでみっともないと思った。
解っている、本当はすごく心配されている事を。

この、動揺を悟られたくなくてウリエから離れる。
身を起こした彼女は、部屋に戻ろうとネグリジェの裾を整えベッドから降りようとする。
でも、それでは寂しすぎる。

「ウリエ。一緒に眠ってくれないか?」
「でも…セバスがここへ来てはいけないって。」
「誰かが側にいないと今日は眠れそうにない。」

他意はない。そのままの意味だ。
悪魔になってから、一人で眠った事はほとんどない。
この家に来てからは、ウリエの側でしか眠れたためしがない。

「うーん。わかった。」

さっきの出来事はすっかりなかった事のように、ウリエはもう一度足をベッドに突っ込み、シエルの横に身を寄せる。

「おやすみ、ウリエ。」
「おやすみ、シエル。」

悪魔でも、痛いものは痛いし、疼くものは疼くんだな。とシエルは一人口角を上げた。













「(フフ。これは……黙ってお二人が起きてくるのを待つしかなさそうですね。仕方ありません、冷めてもよさそうな朝食に変更して置きましょう。)」















(勝利は未熟に 死は盲目に 後編)
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