As well be hanged for .....
第19章 勝利は未熟に 死は盲目に 後編
抵抗しようも、首の後ろに回されたシエルの細い手がそれを許さない。
ちゅ、ちゅ、と何度も繰り返されるついばみ。
ふぁ。と空気と抗議の言葉を紡ごうとしたが、それもシエルの唇に阻止された。
ぺろりと舐められた唇に驚いた。
「シエル!」
「静かにしろ。」
気恥かしさととりあえず落ち着きたいと言う気持ちだけで、抵抗するが、苦しさのあまり開いた口に、ぬるりと何かが侵入し、あふあふと息をするので精一杯だ。
それがシエルの舌だと解るまでには、ウリエはベッドにあおむけに転がされ、両手を組み敷かれていた。
ようやく離れたシエルの顔、その表情は冷静で、少しだけ怖いと思ってしまった。
「馬鹿。」
「え?」
「お前は僕を何だと思ってるんだ。」
なにって。と答えようと息を吸ったがそれも中途半端に終わった。
またシエルに口を塞がれ、かふ。と変に息が漏れた。
ついばむようなキスから、舌を這わせてくるキス、その濃厚な行為にウリエは本能的な疼きを感じた。
もちろん、知識が無い訳ではない。
好きあった男女が及ぶ行為も知らない訳ではない。
だから、疼いた。
「あくま。」
途切れたキスの合間に、ようやく言葉をねじ込む。
「悪魔の前に、一人の男だ。」
「悪魔め。」
「どうとでもいえ。」
クスクスと自分に馬乗りになって笑うシエルが、いつもより数倍も美しく感じたのは贔屓だろうか。
もう、ウリエの体は固くない。
近づくシエルの唇を穏やかに受け入れ、答える。
ちゅ。と音が部屋に響き、ようやく恥ずかしさが戻ってきて、顔が赤くなった。