As well be hanged for .....
第19章 勝利は未熟に 死は盲目に 後編
「あ、起き上がっちゃだめよ。」
「平気だ。」
顔を歪めながら、ベッドに上半身を起こすシエル。
ウリエはシエルの背を支え、起き上がるのに手を貸した。
シエルは手でベッドをポンポンと叩き、ウリエにベッドに座るよう促す。
彼女はベッドを軋ませないよう気をつけながら、シエルの隣に腰をかけた。
「カーディガンも羽織らずに来たのか。」
「あ。忘れてた。」
「寒いだろ。」
ベッドサイドに置かれたいたカーディガンを手に取り、ウリエの肩にかける。
しかし、ウリエはそのカーディガンをシエルの手からさっと奪い、病人と言うのが正しいのか、怪我をしている悪魔の肩に羽織らせた。
「私は平気。」
「僕も平気だ。」
また、意地の張り合いでも始まってしまいそうだったが、ウリエはぐっと次の言葉を飲みこんだ。
シエルは、いつもの調子ならもう2、3回は繰り返す問答が返ってこないことに、クスリ。と笑う。
そして、笑ったことに対して、なによ。とウリエの言葉が返ってこないことに、寂しさを覚えた。
自分の隣にただ座ってこの場にいられることに安心している彼女。
思わず手が伸びて、腕を掴み自分に引き寄せていた。
「シエル?」
「黙ってろ。」
「でっ、でも!」
必然的にウリエはシエルの胸に埋まることになり、怪我人を気遣ってとシエルの胸に頬がくっついている事で体が固まった。
ぎゅう。と自分を抱きしめるシエルの腕。
細い細いといつも馬鹿にしていたのに、こうして触れられるととても大きい気がした。
「ウリエ。」
「ん?」
名前を呼ばれ、上を向く。
そっと抑えられた顎に、何かついていたか?と思った瞬間、シエルの顔が近づき、唇が塞がれた。
瞬間、離れた。と思ったが、すぐにまた、唇が塞がれ、ようやく自分がシエルとキスをしていることに気が付いた。
「ちょ、シエ」
ル。と言葉は続かず、ぐい。と体を引き起こされ、シエルの前に座らされた。