As well be hanged for .....
第4章 砂糖は多めに 塩は少なめに 前篇
何処へ行ったのか。と思う反面、いなくてよかった。と相反する心が戦う。
正直、ウリエは未だにあのシエル・ファントムハイヴが悪魔で、自分の魂と引き換えに願いを叶えてくれる。と言う契約をまだ少し疑っている。
だいたい、科学が普及しているこのご時世に、悪魔だのなんだのと超常現象的な事が起こりうるのか。
ウリエは書斎を出て、誰もいない古めかしい廊下を静かに歩く。
シエルが悪魔だろうが、ただの幽霊だろうがそれは置いておく。
ウリエはただのお嬢様ではない。
やらなければならない仕事がある。
そのために力を貸してくれているのだから文句は無い。
けれど
「ウリエ?」
ちょうどリビングに差し掛かろうとした時、シエルが廊下へ身を乗り出してきた。
ウリエは驚きちょっとだけ後ずさりする。
「すまない、驚かすつもりは。」
「だい、じょうぶ。」
片目だけの赤い瞳でウリエを見つめる。
そして、黒い爪の白い手で棒立ちしているウリエの手を引くシエル。
「面白いニュースがやっている。」
洗練された紳士の様にウリエをエスコートしソファーへ座らせ、正面のテレビへと視線を誘導する。