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As well be hanged for .....

第4章 砂糖は多めに 塩は少なめに 前篇




「お嬢様。余り風に当たり過ぎるとお身体に触りますよ。」
「…セバス。」

音もなく現れたセバスチャンに驚く事もしないウリエ。
カチャリ。と用意された紅茶のカップで手を温め、のどかな田舎を思わせる、計算しつくされた呑気な庭を眺める。

「お困り事でしたら、ぼっちゃんに相談なさったらいかがです?」
「だって、シエル何にもできなさそうでしょ?」
「大丈夫ですよ。」

私がいますから。と妙に楽しそうに言いながら、フィナンシェをお皿に盛りつけていくセバスチャン。
ウリエはそんなセバスチャンの無駄なく動く指を見ながら、形のいい唇を開く

「疑問ばかりね。私。」
「疑問、ですか?」
「お父様がどうして死んでしまったのか、姉さまは何をしているのか。シエルと仲良くできるのかしら。女王は一体何を考えているのかしら。疑問だらけ。」

セバスチャンは何も言わず、盛りつけたお皿を静かに少女の前に並べるだけ。
ウリエの前を通り過ぎようとしたセバスチャンの手は、彼女の手に捕まる。

「知りたいの。」

力強くセバスチャンを見つめるエメラルドの瞳は苛烈で飢えている。
思わず唾を飲み込んだセバスチャンはウリエの頬へ手を伸ばし、さらりとした頬をねっとりと撫でる。

「ですから。その妙なプライドを捨てて、ぼっちゃんに相談なさい。あなたと彼はそうあるべきなのですから。」

風で冷えた頬はようやく熱を取り戻しつつあった。
ぱちくり。と大きな瞳を瞬かせ、殺されかけた小動物の様にテラスを飛び出して、慌しく屋敷の中へと駆けこんで行った。

セバスチャンはその背を目で追いながら、彼女は主人の居所を知らないのでは。と笑う。


屋敷に飛び込んだウリエは、最近シエルがずっと詰めている書斎をまず覗いた。

「シエル?」

もしかしたら寝ているのかもしれない。ノックをしても返事が無かった。静かに扉を開けたがやはり誰もいなかった。

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